ブログメニュー

5月 17th, 2012 No Comments »

当ブログのメニューを紹介します。

プロフィール
マッキンゼー&カンパニー 、ジェミニ・コンサルティング、モニター・カンパニーでコンサルティングを経験し、現在(株)HRCの代表取締役を務めています。

お知らせ
共同参加型の「企業の潜在成長力診断」を実施します。
また8月にセミナーの開催を予定しております。

幸せを目的にした政策
1.ひどい政治
2.数字で見る日本の現状 
3.個別政策の問題点 
 (1)医療
 (2)介護
 (3)年金
 (4)福祉その他
 (5)公共事業
 (6)文教
 (7)科学技術関連
 (8)防衛関係
 (9)食料安定供給
4.政治問題の本質
 (1)国というコミュニティに何を期待するか?
 (2)コミュニティの運営体制
 (3)人財
5.日本のあるべき姿の方向性(仮説)

社会と企業
1.我々が暮らしている社会
2.企業経営の本質(その1)
3.企業経営の本質(その2)
4.日本のルール(総論)
5.日本のルール(労使関係)
6.日本のルール(株主)
7.クラウドファンディング
8.企業の寿命
9.持続的成長を達成しているハイパフォーマーの要件(その1)
10.持続的成長を達成しているハイパフォーマーの要件(その2)
11.社会のパラダイムシフト
12.新時代のハイパフォーマーの要件
13.経営コンサルタントの役割

○幸せを科学する
1.幸せの類型化
2.基本的欲求を満たす社会の仕組み
3.高次元の欲求を満たす社会の仕組み

【幸せを目的とした政策】05.日本のあるべき方向性(仮説)

8月 8th, 2012 No Comments »

日本は、既に破綻している状態です。今の政府が言うように、現状の法律、制度を維持するために税金を増やして支出を続けるのか、それとも時代の変化に呼応した社会の仕組みを再構築するのか、岐路に立たされています。

 新たな社会の仕組みを再構築するキーワードは、自立した個と多様なライフスタイルを支える社会インフラの整備だと思います。この仕組みの構築のためには、国というコミュニティの役割の再定義、コミュニティの運営体制の設計、新たな仕組み運営のための人財の入れ替えを行なう必要があります。

 以下は、自立した個と多様なライフスタイルのイメージ図です。

  Aタイプ Bタイプ
家族構成 主人 35歳妻 30歳子供 6歳 同左
所得 月10万円 月200万円
就業時間 2~3時間/日 12時間/日。土日も1日は出勤
主人 -    家族と過ごす時間を大切に-    日々生きることの中での新たな発見、喜び-    都会では味わえない、食事の本当の美味しさ -    日々の仕事でクタクタ-    1年に1度か2度自然のあるところに家族と旅行するのが楽しみ
-    洒落たカフェでお茶。高価なバックと化粧品を買って満足
子供 -    週4日はネットで授業-    週1回はお迎えバスで学校へ -    近くの小学校へ通学
医療 -    ネット経由でかかりつけ医と相談-    大抵の薬はネットで処方後通販で購入-    急病の場合はドクターヘリで -    近くの病院で診察
食事 -    主食は近所のお友達のお米(野菜と物々交換)-    手に入り辛いものは通販で -    スーパーで買い物-    たまには外食
エネルギー -    太陽光発電が主体 -    東京電力から

 

前述の通り、世界の統計では、国民一人当たりの所得が1万ドルを超えると、生活満足度と所得の相関が薄れてきます。つまり1万ドルあれば、お金を稼ぐよりももっと大切なことがあるということです。

日本の国民一人当たりのGDPは、購買力平価換算で3万6千ドルと推定されます。でもどうして日本は破綻に追い込まれ、幸福感がないのでしょうか?また多くの絶望的な人がいるのでしょうか?

それは、画一的ライフスタイルを基準とした競争、保護政策が取られているからです。画一的ライフタイルの元での競争の敗者は、都会という高コストの生活を強いられる環境で日々の生活に苦しんでいます。何故、田舎や海外に行き、自給自足の割合を高め、自分に合った生活を選ばないのでしょうか?それはそのような生活が想像できないし、そのためのインフラや仕組みが用意されていないからです。

幸せは、四六時中働いてお金を稼ぐことのみから得られるのではなく、人それぞれ、また同じ人でもその時の状況により異なります。各個人は、幸せのindifferentカーブのどこか1点に留まる必要はなく、自由に動くことが可能です。それを可能ならしめる社会の仕組みが求められます。

この仕組みは、今の政府、官僚が盲目的にお手本とする欧米よりも先進的な仕組みとなり、世界に広がって行く可能性があると思います。それが成熟した日本、コミュニティ先進国日本の、世界における存在意義ではないでしょうか?

【幸せの目的にした政策】04.政治問題の本質 (3)人財

8月 7th, 2012 No Comments »

日本というコミュニティの役割、運営体制を設計したら、その運営を行なう人財の確保が課題となります。

 人財の不足は、大きな問題です。

官僚のレポートを見て奇異に感じるのは、欧米諸国と比べてという下りが必ず出てくることです。日本の消費税は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどと比べて低いので上げる余地があるなど、何の合理性もありません。

 民間企業はグローバル競争の中、いかに他企業と異なる戦略、マネジメントシステムを構築するかを必死に考えていますが、政府、官僚からはそのような志向が全く伺われません。日本という世界の中で唯一無二のコミュニティにおいて、CSR指標を高めるための戦略、マネジメントシステムは、他国の研究や真似事からは生まれず、国民一人一人の幸せをベースに、自ら主体的かつ独創的に考えるべきものです。

 これまで、主体的かつ独創的に考える習慣がない人達に、明日から180度変わってくださいと言っても難しい状況です。国を始め、公共部門のコミュニティの役割定義、運営体制の再設計後は、上層部を中心に人の入れ替えを行なうことが必要となるかと思います。組織のマネジメントに必要なのは専門知識や同組織の因習を知っていることではなく、組織の存在意義を明確にし、構成員のあるべき行動を引き出す、汎用的なマネジメント能力です。

 外部からそのような能力を持つ人財を登用してこそ、日本コミュニティのトランスフォーメーションが起動することになります。

【幸せを目的にした政策】04.政治問題の本質 (2)コミュニティの運営体制

8月 6th, 2012 No Comments »

「国というコミュニティに何を期待するか?」という問いかけに対応して、日本という国の果たすべき役割を定義したら、次はその運営の仕組みを設計することが必要です。

 どの分業のコミュニティでも同じですが、社会に対する提供価値候補毎に、代替コミュニティ(この場合、他国、地方自治体、企業など)と比較した強み、弱みを分析し、自分達の役割を再定義します。これは省庁や官僚の仕事ではなく、政府を中心に案を作成し、国民全体で討議、決定すべきことです。

 そしてその価値を提供するための国、地方自治体、民間を交えたバリューチェーン、業務プロセスを設計し、政府・省庁の組織を作ります。現状の行政機関の組織体制や、縦割りプロセスなどは、一旦無いものとしてゼロベースで考えるべきです。

 次に人事制度の設計です。公務員が、団体交渉権がないのと引き換えに特別な地位を保障されるというのは納得がいきません。団体交渉権がなくとも民間企業と同じく、入社退職が自由に成されるべきであり、また透明性を持ちフェアに人事評価が成されるべきです。

 また企業は搾取する側、従業員は搾取される側、労働者は弱いという、産業革命直後の社会を反映した労働関係法案はゼロベースで見直し、個人は自由に分業の場を選べ、企業も自由な働く形態を提供し、働く人と相互納得する契約を自由に締結できるようにすべきではないでしょうか?その適用は民間も公務員も同じであり、異なるものにする必要性を感じません。

 更には、公共サービスに対するKPI(Key Performance Indicator)の設定、そのKPIを中心としたPDCAプロセス、ナレッジマネジメント、組織横断的なプロジェクトチームの編成、チェンジリーダーの育成・活用など、民間企業と同じく、コミュニティを運営するために必要なマネジメントシステムも設計、導入すべきです。

 ちなみに、現状のように年度の予算が振り分けられ、サービスの有効性、効率性を考えることなく、予算執行の権化と化す仕組みは廃止し、各組織は独立したSBU (Strategic Business Unit)としてKPIで評価されるべきだと思います。そうすれば、予算の取り合い、予算を取った人がえらい、一旦予算を取っても余らせてしまうと次年度削減されるなど、常軌を逸した行動がなくなるのではないでしょうか。より効果的、効率的に運営できたSBUは、株主たる国民より褒められ、ボーナスを提供されるということも有り得る組織評価の仕組みかと思います。

【幸せを目的にした政策】04.政治問題の本質 (1)国というコミュニティに何を期待するか?

8月 3rd, 2012 No Comments »

これまで、日本の政治を、収支・支出項目の政策の面から分析してきました。今回は、それらの個別課題の裏側にある本質課題を明らかにし、その課題解決の方向性を提言したいと思います。国も地方自治体も企業も、自給自足を代替オプションとする分業のコミュニティです。

国民一人一人が苦労を税金という形で拠出して、自給自足社会よりも多くの幸せを作ることを目的としたコミュニティの一つが国なのです。

 拠出と支出は対応すべきであり、現状の日本の財政状況を考えれば、更なる拠出を求めるか、支出を切り詰めなければなりません。拠出によりバランスを取るには、消費税の5%増などでは済みません。政府は本質的議論を避け、常に国民を欺いてきました。

 特に問題なのが、医療、年金、介護、生活保障などの社会保障費です。国や地方自治体よりも明らかに効果的かつ効率的な社会保障の設計、運営ができる民間を活用すると、(個人の判断に任せるため)拠出と支出のバランスは取れ、個々のニーズに対応した商品、サービス開発が進展すると思われます。

 この民間へのシフトにより損をするのは、自分が支払った税金(苦労)以上に幸せを得ている人です。公共機関の関係者を含め、これらの人の既得権益を守るために増税を迫るのは、あるまじきことかと思います。

 また生活保護も議論を尽くすべきだと思います。国民一人当たりのGDPの世界平均は、2010年で9,178ドルです。ある研究成果によると国民一人当たりの所得が1万ドルを超えると、生活満足度と所得の相関が薄れると言われています。

 何故、日本では2万ドル、3万ドルを最低レベルの生活水準として、保障をしなければならないのでしょうか?それは、人口が密集した都会暮らしという生活環境を前提にしているからです。生きるためには、生活費の安い田舎で自給自足の割合を増やすオプションや、生活費のかからない海外での生活の場を提供すべきです。

 国の役割は、「都会で死に物狂いで働く人にはそれに対応した対価を与え、働きたくない人には自給自足の割合を増やした田舎での生活環境を与える」といった、ライフスタイルの多様性の提供だと思います。金銭的な格差が問題だという主張には反対です。苦労に対してはフェアな対価が支払われるべきです。そしてそのような主張者は、金銭の過多が幸せの大きさを決めるのではないことを理解すべきです。

 個人は、特定のライフスタイルに留まることなく、自由に分業と自給自足の時間配分、生活の質を選ぶことができる。このような社会が、国民一人当たりの所得が一定レベルを超え、人口が増えないという成熟社会のあるべき姿ではないでしょうか?

 この実現のためには、社会インフラの整備が必要です。インターネット、分散型自然エネルギー、医療、物流網などのハード、またパートタイムでも、職場から離れていてもできる仕事の創出、ネットを活用した教育、医療の提供、遊休土地の活用の仕組みなどのソフトの開発です。現状では、整備をしようにも、規制で雁字搦めの状態です。新しい時代の新しい社会のあり方に対応するため、憲法を含め法律をゼロから作り直すことが求められます。

 社会保障以外の大きな問題の一つは、特定団体への利益の誘導です。農業を守る、漁業を守るなどといって、グローバル社会においてあるまじき政策が平然と実施されています。減反政策に従いでお米を作らなければ、その分の所得を保証しますなどの政策がまかり通る理由がわかりません。国はグローバル分業体制における一つのコミュニティであり、農業は他の得意とするコミュニティに任せるのが、自由・競争社会のルールです。

 開国しても、国内における多様なニーズに対応するための農業は発展しますし、自給自足の割合が増えれば、第一次産業の担い手は増えます。政府は、マニュフェストなどにより日本という社会の目指すべき方向性を示し、それに適合しない政策は取らないことを徹底し、族議員の影響力を排除することが重要です。

【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (9)食料安定供給

8月 1st, 2012 No Comments »

食料安定供給の支出は1.8兆円です。国民1人当り14千円、1世帯当り35千円です。

食料安定供給とは、食の安全の確保という大義名分のもと、主に農業の保護を行なうものです。具体的には、①農業経営基盤強化事業、②農業経営安定事業、③食糧の需給及び価格の安定化事業を目的にしています。

 国内の農業の保護を行なうために、高い関税をかけて、海外から農作物が輸入できないようにする、国内の農作物が需給ギャップや競争により価格が下がると農家の皆様が困るので、政府主導で生産調整を進めるなどの政策が実行されて来ました。「お米を作らないでください。お米を作るのをやめたら、その代わりにその分のお金を上げます。」という政策がまかり通っています。

 おかしくないですか?それが国民の望むところでしょうか。農家と族議員の望むところではないでしょうか?

国は、分業を前提とした地球の中の1コミュニティです。一国で全てがまかなわれる必要はありません。一国民として、今の農業政策は到底納得できるものではなく、グローバルの競争の中で、駄目なものは駄目で淘汰されるべきです。逆に、付加価値の高いものは世界から求められ、世界で消費されます。

 他国とは、分業のギブアンドテークをベースに、困った時には助けあえる互恵関係を構築するのが政府の役割かと思います。

野田首相は、「食と農林漁業の再生実現会議」で、TPPには賛成だが、経済連携と農業再生を両立しなければならないという旨の発言をしました。前農林水産大臣の鹿野氏は、それを受け「政府の基本方針案はTPP参加を見据えたものではなく、別個のものであると(同再生実現会議で)確認した」と説明しています。今の政府の方針は、TPP後も農業政策を変えないという矛盾を内包しているように見えます。