【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (1)医療

医療関係の支出は23.4兆円、国民1人当り185千円、1世帯当り451千円です。この支出の多くは健康保険によりカバーされている医療費の給付です。4歳から70歳未満の医療費の70%、3歳未満70歳以上は80%~90%を、皆さんが拠出した健康保険でまかなっています。

 お金だけで見ると、健康な人は損をし、不健康な人は得をする構造です。世界でも稀な皆保険という制度を選択し、健康弱者を助けるコミュニティの仕組みです。この仕組みが成り立つためには、資金の提供者である健康な人に対して、不健康な人、高齢者をどれだけ援助しますかという問いかけが必要です。

 またそれを国というコミュニティ全体で画一的ルールにするのか(従来通りの国の保険)、その中のサブコミュニティを形成して、同コミュニティのサービスに賛同する人達の判断に委ねるのか(民間保険の活用)も論点となります。

 従来通りの保険制度は、風邪や、軽度の症状でも、とにかく病院に行くことが助長されるという問題があります。現在、セルフメディケーションと称して、薬局やドラッグストアで、より効き目が強い薬が条件付で販売できるようになりました。しかし、当局は副作用などのリスクに及び腰で、実際はさほど規制緩和が進んでいません。

 民間保険に完全に委ねた場合は、国民1人当り185千円という負担が国民に還元されますが、その収入を他のことに使ってしまえば、無保険者が増えることになります。自業自得といえばそれまでですが、個人、家族に留まらず社会全体の衛生に悪影響を与えるおそれもあります。

 結論は、その中間であろうかと思いますが、増税の前に、国民に分かりやすく説明をして、判断を求めることが重要かと思います。

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