【社会と企業】07.クラウドファンディング

社会の共通の未充足ニーズに対応したモノ作りは規模の経済が働きますが、より高次元のニーズは個々人の幸せ感に左右され、規模の経済による低価格よ りも自分のこだわりの充足に価値を見出すようになります。それが多様性です。また、情報を取り扱い付加価値をつける企業は、ICTを含む、分業を容易にす る技術の発展により、(リスク分散や範囲の経済という観点で顧客の数の多さは競争優位の源泉ですが)規模の経済の効果は弱くなってきています。

これらを背景に、規模は小さくともCSR指標の大きな企業が生まれる余地はどんどん増えています。これらの企業に対する、幸せの権利の預託の仕組み として、クラウドファンディング(Crowd funding)なるものがあります。個人の少額出資(お金を対価として求めるものと、商品・サービスを対価として求めるものがある)や寄付により小規模 コミュニティを応援する仕組みであり、この仕組みをテコに、現状の株主資本主義を変えて行くことができないかと最近考えています。

ある幸せを生産する場に対して、1人1,000円分の苦労を世界の人口の0.1%に相当する700万人から預託してもらえば、70億円の資本が調達 できます。対価はお金でなくとも、商品・サービスであったり、また他人に幸せを分かち合う喜びであったり、高度に発展して実態の見えない社会の仕組みでは なく、物々交換のにおいが残り、苦労と幸せが目に見える、コミュニティの本質に近づいた社会の仕組みであるような気がします。

アメリカでは、今年の4月にオバマ大統領がクラウンドファンド法案にサインをしました。日本は、現状では規制が多く、思うに任せない状況かと思いますが、社会のあり方を変える大きな原動力になることは間違いないと思います。

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