【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (9)食料安定供給

食料安定供給の支出は1.8兆円です。国民1人当り14千円、1世帯当り35千円です。

食料安定供給とは、食の安全の確保という大義名分のもと、主に農業の保護を行なうものです。具体的には、①農業経営基盤強化事業、②農業経営安定事業、③食糧の需給及び価格の安定化事業を目的にしています。

 国内の農業の保護を行なうために、高い関税をかけて、海外から農作物が輸入できないようにする、国内の農作物が需給ギャップや競争により価格が下がると農家の皆様が困るので、政府主導で生産調整を進めるなどの政策が実行されて来ました。「お米を作らないでください。お米を作るのをやめたら、その代わりにその分のお金を上げます。」という政策がまかり通っています。

 おかしくないですか?それが国民の望むところでしょうか。農家と族議員の望むところではないでしょうか?

国は、分業を前提とした地球の中の1コミュニティです。一国で全てがまかなわれる必要はありません。一国民として、今の農業政策は到底納得できるものではなく、グローバルの競争の中で、駄目なものは駄目で淘汰されるべきです。逆に、付加価値の高いものは世界から求められ、世界で消費されます。

 他国とは、分業のギブアンドテークをベースに、困った時には助けあえる互恵関係を構築するのが政府の役割かと思います。

野田首相は、「食と農林漁業の再生実現会議」で、TPPには賛成だが、経済連携と農業再生を両立しなければならないという旨の発言をしました。前農林水産大臣の鹿野氏は、それを受け「政府の基本方針案はTPP参加を見据えたものではなく、別個のものであると(同再生実現会議で)確認した」と説明しています。今の政府の方針は、TPP後も農業政策を変えないという矛盾を内包しているように見えます。

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