【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (3)年金

年金の支出は37.3兆円、国民1人当り295千円、1世帯当り719千円です。

 現在の公的年金は、国民全員を対象とする国民年金が基礎となります。さらに上乗せ分として、自営業を対象とした国民年金基金、会社員を対象とした厚生年金、公務員を対象とした共済年金などがあり、20歳以上60歳未満の全ての人に強制加入させる仕組みとなっています。

 国民が負担する保険料は、どの制度に属するかにより異なったルールが適用されます。徴収された保険料は、厚労省の外郭団体である年金積立金管理運用独立行政法人や、厚労省の認可を受けた、企業が母体の企業年金基金などで運用されます。

 これらの団体は資産運用に関して押しなべて素人なので、民間の運用機関に委託します。民間は営利目的で行なっており、手数料が稼ぐことができれば、資産が目減りしようが責任を取る必要はありません。AIJ問題は氷山の一角であり、皆さんが預けた多くのお金は、驚くほど目減りをしているのが現状です。

 さてこのように運用された年金は、65歳から支払われます。今のルールが維持されれば、2010年時点の平均寿命は女性が86.39歳、男性が79.64歳なので、女性は約21年、男性は約15年間、年金を受け取ることができます。平均よりも早く死ぬと、遺族年金、寡婦年金、死亡一時金のどれかの形態で支払われます。

 国民が支払う保険料は、国民年金は定額ですが、厚生年金基金などの上乗せ部分は、標準報酬月額、加入期間、乗率により計算されます。保険料は実際の給料や賞与に対して、決められたパーセンテージが徴収されますが、一方、支払いになると、過去の平均給与や、厚労省が決める乗率により、どんぶり勘定でに決められているのが実態です。

 年金の運用に失敗しても誰も責任を取らず、関係者は潤い、そのつけは受給開始年齢の繰り下げ、乗率の見直し等で、国民に回すことができる制度です。また非効率な運営体制で、実態はとんでもない事業費率であると類推されます。(その分国民の税金が充当されます)

 何故、我々は、このような非合理、非効率な制度を、国というコミュニティにお願いする必要があるのでしょうか?民間に任せればよいのではないでしょうか?民間は個人年金保険というサービスを提供しており、国民は、自分に合った制度を選ぶことができます。

仮に20歳から60歳まで厚生年金に加入した場合、生涯の平均年収が600万円と想定すると、40年間支払う保険料の総額は3,940万円です。一方の受給額は65歳から受給を開始して平均寿命の80歳までの総額はわずかに3,312万円です。これを民間の保険会社に個人年金として預けた場合は利率を0.7%として4,560万円となります。0%としても厚生年金よりましな状況です。

 2012年7月5日のニュースです。
「厚生労働省は5日、平成23年度の国民年金保険料の納付率が58・6%となり、過去最低を更新したと発表した。」

既に現状の年金制度に加入してある一定期間が経過している人は、抜けると損をしますが、これから加入する人、或いは加入して間もない人が公的年金に加入しないのは、賢明な判断である気がします。

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